治療レポートD

年間数例、エキゾチックアニマルの手術があります。
その多くが体表腫瘤(しこり)の切除手術です。
 
キンクマハムスターの前胸に2個、パチンコ玉大の皮下腫瘤ができていました。
その後急激に大きくなり、10日後にはウズラ卵大となっていました。
巨大な腫瘤が邪魔をし、食べ物を手に持って食べことができなくなっていました。
 
術前より鎮痛剤を投与し、全身麻酔下にて手術に臨みます。
腫瘤は可動性ですが、一部頸静脈に癒着していました。
大血管は結紮止血、小血管は止血装置を用い切除しました。
切除した腫瘤の重さは10gで(体重は120g)、体重の8%を占めていました。
 
術後の経過は順調で、2時間後には自らキャベツを手に持って食べられるようになりましt。
傷や周囲の腫れもありましたが、心配を余所に過度にいじることもなく2週間後に抜糸を完了しました。
 
病理組織検査にて悪性腫瘍であることが判明し、現在は栄養補助食品にて経過をみています。
 
今回、治療がスムーズに進んだ大きな要因にハムスターさんの協力があったためと思っています。
動物に病気の治療を理解してもらえることは困難だからです。
診察毎に捕まえられて、検査(針生検や超音波)もしたにもかかわらず、噛みつくなどの抵抗もありませんでした。
治療する側にとって大きなメリットであるとともに、スタッフ一同とても愛着がわいてしまいました。
 
大きな試練を乗り越えたので、オウタン頑張ってね!
 
1枚目:手術前(麻酔下)
2枚目:手術直後
3枚目:抜糸時



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